ESLって何?アメリカで他国の人と学ぶ英語学習とは。

ESLって何?アメリカで他国の人と学ぶ英語学習とは。

 アメリカへの赴任を予定されている方は、”ESL”という言葉を耳にしたことがあると思います。これは”English as a Second Language”(第二言語としての英語)という言葉の略語で、英語を母語としない子どもたちがアメリカの学校でネイティブ・スピーカーの子どもたちと同じ授業を受け、学校生活をスムーズに送っていけるようになるための補助として、基礎的な英語を教える授業です。ご存じのとおり、アメリカは世界の各地域から移民が集まって構成されている国であるため、英語を母語としておらず、十分な英語力のない子どもたちも多く存在しています。そのため、政府としてもそういった子どもたちをサポートするためにESLの設置を行っているのです。

 ESLの規模は地域によって大きく異なるようです。確かに、例えばフロリダ州やカリフォルニア州、ニューヨーク州など、ヒスパニック系住民の多い地域や都市部には多くの移民が存在しているので、ESLに通う子どもたちの数も必然的に増加し、大規模なクラスになっていくようです。私が暮らしていたテネシー州では、そこまでの大きな都市ではなかったこともあってか、ESLの授業も少人数でした。私が受けたESLの授業は現地校の図書館で行われていました。週に1回程度だったと思いますが、ネイティブと同じ授業を受けている最中にESLの先生が私たちの教室にやって来ます。それが「これからESLの授業を始めますよ」という合図で、その時だけは私はネイティブのクラスメートたちとは離れてESLの授業を受けることになっていました。放課後に補習といったような形ではありませんでした。私も含めて4人程度の生徒とアメリカ人の先生1人が円卓を囲む形で授業が行われていました。少人数であったため、先生の目も行き届きやすく、生徒の立場からすると好ましいことだったのではないかと思っています。授業は全て英語で行われましたが、やはり先生もESLの授業らしく、極力簡単な英語で、かつゆっくりと話してくれていたので、特に問題を感じることはありませんでした。もし理解できなければ、恥ずかしがらずに先生に質問するとよいと思います。

 生徒は当然ながら全員アメリカ国籍ではない人たちでした。日本人は私だけで、あとは韓国人が1人とソマリア人のきょうだいが2人という構成のことが多かったです。当時私はソマリアという国がどんな国なのかすら知りませんでしたが、少し調べてみて、非常に貧しく、紛争が激しい国家であることを初めて知りました。そしてそのような国の人でもアメリカに渡って来ることができるのか、と驚いたのを覚えています。

このように、ESLの授業を受けているだけで英語だけでなく異文化交流の学習にもなり、刺激的で面白かったです。特に印象に残っているのは、皆で自分の国の国旗を描いて紹介する、という授業です。星条旗や韓国の国旗はすぐ頭に思い浮かぶことと思いますが、特に星条旗は複雑なので描くのに結構時間がかかります。また、ソマリアの国旗は背景が薄い青色で、これも塗るのにやや時間がかかります。一方の私は紙を横にして中心に赤い丸を描いて終わりだったので、すぐに終わってしまいました。他のみんながせっせと描き続けているのを見ながら、「日本の国旗はシンプルだなあ」などと、自国のことを相対的に考えるきっかけを与えてくれたのもESLの授業でした。

小学生だったこともあってか、教わる英語のレベルは、今振り返ってみると基礎的なものが多かったです。私は、特に現地校に通い始めて間もない頃はおそらくESLの生徒の中でも最も英語力が低かったと思うので、ESLが必要であることは明白でしたが、もしESLの授業を受けてみて、子どもの英語力と比較して易し過ぎる、というような場合には、ESLの授業を受けさせないことも可能かもしれません。その点については、学校、担任の先生、ESLの先生とよく相談することをおすすめします。ここで注意しなければならないのは、特に日本人が現地校に複数いる場合、「○○さんの子はESLに通っていないのにうちの子は通っている」などと他の子どもと比較をしてしまうことです。この他人と比較する誘惑は常に存在しますが、英語力の状況や発達段階は人それぞれであり、誰かと比べて劣等感を持つ必要は全くないということを改めて認識しておくことが必要です。

また、特にカリフォルニア州やニューヨーク州など、日本人が多い地域に赴任される方が注意したほうがよいと思うのは、現地校の中でも日本人同士で固まってばかりいるのは好ましくないということです。こうした地域では、クラスメートや校内に日本人がかなりいるという状況もあり得るでしょう。このような状況は、特に現地校に通い始めて間もない頃は大いに子どもの心の支えとなります。英語が分からなくても、英語のできる子ができない子に日本語で教えてあげるということが可能になるからです。しかし、日本人に多く見られる悪癖の一つに、日本人だけで群れたがる傾向が挙げられると思います。英語が分からないからといつも日本人だけで固まっていて、極端な場合は現地校なのに日本語だけでほとんど事足りる、という事態になれば、当然ながらいつまでたってもアメリカ人のクラスメートとは交流ができず、たとえESLの授業を受けたとしても、そこでも日本人同士で固まってしまい、英語力の向上もあまり期待できません。現地校の中でも日本語を話し、ネイティブや他の外国人とも交流しようとしない態度は、学校側としてもあまり気持ちの良いものではないでしょう。このような地域では日本人学校も発達しているので、現地校に通わせる場合には、あえて現地校を選ぶ理由をよく考えたほうがいいように思います。

また、私立学校の中にはESLのクラスを設けていないところも少なくないようなので、その点にも注意が必要です。ESLの授業を最大限に活かすためには、子どもの英語力の状況や、子どもが現地校でネイティブと一緒の授業にどの程度ついていけているのかをしっかり把握しておくことが最も重要なことになると思います。

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