アメリカ帰国子女の受験体験記

アメリカ帰国子女の受験体験記

 帰国子女が日本の高校や大学を受験する場合、いわゆる帰国子女のための枠も存在しますし、それらを解説したWebサイトなども多く見られます。しかし、それと比べて案外知られていないのは、帰国子女が、帰国子女でない日本人と同じように一般入試を受けて進学するケースです。そして私自身がまさにそのケースで進学した人間です。
今回は、そうした経験を振り返りながら、多くの日本人が受験する一般入試において、帰国子女はそうでない人と比べて有利なのかといった点も含め、考えてみたいと思います。

私は小学校の高学年のときにアメリカで生活していました。そして中学校に入学する前に帰国したので、中学と高校の間は帰国子女でない日本人と全く同一のカリキュラムで勉強しました。そして大学は国内の、世間では難関と言われているような学校に進学しました。高校、大学ともに一般入試に合格して進学しました。

私の通った高校は地方の公立高校です。地方であったために優秀な私立学校があまりなく、私の通った高校が県内では最も難関とされていました。高校入試では、英語、数学、国語、社会、理科の5教科で試験が行われ、どの教科も配点は同じでした。そのため、どの教科も一通り点数が取れなければなりませんでした。
高校入試では中学校の3年間で履修する内容が出題範囲となっていました。私はアメリカからの帰国子女であったので、中学で習う英語ではほとんど難しさを感じませんでした。高校入試の得点は受験者にも知らされないので証拠はないのですが、感覚的には高校入試でも英語では確実に点を取れたように思います。ですから、やはり多くの人が予想する通り、特に英語圏からの帰国子女の場合、英語に関してはかなり有利に進めることができると思います。

それ以外の教科では、私は歴史、特に戦国時代より昔の歴史があまり得意ではありませんでした。ですが社会科に関しては歴史分野以外にも地理や公民の分野があります。公民はニュースをよく見ていた習慣もあって得意だったので、そこで補うことができました。理科は中学の間は社会科と同じように知識を覚えれば対応できたので、点数が大きく変動することはありませんでした。
不安定だったのは国語と数学です。国語は、特に小説からの出題の場合、自分との相性によって高得点になったりほとんど読解できていなかったりと、得点差が大きかったと思います。また数学は、大問の(1)でつまずくとそれ以降の全ての問題を落としてしまうような問題もときどきあり、やはりあまり安定はしませんでした。
こういった英語以外の教科では、海外と日本のカリキュラムは異なり、帰国する時期にもよりますが、場合によっては帰国子女に不利になることもあるかもしれません。私のように中学入学以前、あるいは1年になってすぐに帰国するような場合は、あまり差は出ないように思います。

次に大学受験について見ていきたいと思います。私の通った高校はほぼ毎年10名程度の東大合格者を出していますが、私の同期はなぜか優秀な人が多く、25名以上が東大に合格しました。私が住んでいた県内では最も難関とされている高校であるため、県内中から優秀な人が集まってきます。こういった環境であったため、日々の授業の難易度も進度も中学のころとは全く異なるハイレベルなものとなりました。特に高校1年の間はそうした難易度についていくのが精一杯でした。成績も全体的に下がっていき、かなり凹んだのを覚えています。
高校2年くらいまでは不思議なことに、自分が帰国子女であることもほとんど思い出すことがありませんでした。今振り返ってみると、日々忙しくて、また自分より勉強ができる人が周囲にごろごろいる空気に飲まれて、自分自身のことをゆっくりと見つめ直す余裕もあまりなかったのかもしれません。また、中学時代に帰国子女であることをからかわれたことも多少トラウマになっていて、高校でも自分が帰国子女であることは隠していました。日本の高校生はだいたいそうなのかもしれませんが、そういった他人の目を気にする神経症的な心理状態もあったように思います。

 ですが、高校3年になってすぐのころ、学校で英語の模試を受けている最中に、突然自分がアメリカにいた時のことが頭に浮かんできました。現地校の教室で授業を受けていた光景なども頭に浮かんできました。久々にそれらを思い出して、「自分はあの頃の経験を、今十分に生かしているだろうか」と思いました。高校に入ってからも英語の成績は主要5教科の中では最も良かったのですが、帰国子女でない他の人が自分より英語で高得点を取っていることについて、やはり悔しさのようなものを感じました。帰国子女である強みをやっぱりもっと生かしたいと思いました。「ひらめき」というのはあのようなことを言うのだろうなと思います。それまでは志望校もなかなか絞り込めずにいたのですが、その日からは自然に、入試で英語の配点が高い大学に候補を絞るようになりました。そうすると、一番好きな教科である英語を勉強することが志望校の合格につながるわけですから、しんどい受験生としての1年間の中にも自分なりの楽しみが見出せました。そして結果的に志望校に合格することができました。あの日までは日々の忙しさにかまけて、自分を見つめ直すことがほとんどありませんでした。しかし、受験勉強をするにあたって最も大切なのが、やはり自分を見つめ直し、自分を知る作業であると痛感させられました。

英語圏からの帰国子女の場合、大学受験の一般入試の英語でも有利になることが多いと思います。帰国子女には帰国子女枠を狙うという選択肢もありますが、一般入試の英語でその能力を発揮するという方法もあります。特に帰国後に地方に住む人は一般入試も選択肢に入れてみるのもいいかと思います。私の出身高校が地方の公立校であり、進路指導もほとんどが一般入試を念頭に置いたものだったことも、私が一般入試を受験した要因だったと思うからです。特に文系では英語の配点が高い大学も多く、帰国子女には有利な環境です。

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